2025年法改正まとめ(7月~12月)

CoRunの労務コラム

はじめに

2025年下半期では、働く人々の「所得」に関する改正が続いています。日々の給与計算や申請手続きに関わるテーマが多く、企業の皆様にとって特に気を配る場面が増えた半年となりました。
この記事では、2025年7月〜12月に施行・運用された主要な改正をまとめています。

2025年10月1日から適用となるもの

19歳以上23歳未満の被扶養者の認定要件の取り扱い

厳しい人手不足の状況における就業調整対策等の観点から、税制では19歳以上23歳未満の親族等を扶養する場合における特定扶養控除の要件の見直し等が行われました。これを受け、健康保険でも、扶養認定を受ける方(被保険者の配偶者を除く)が19歳以上23歳未満である場合の年間収入要件の取り扱いが変更されています。

年間収入要件
  • 現行:年間収入130万円未満
  • 変更後:年間収入150万円未満

※「年間収入要件」以外の要件に変更はありません。

参考:19歳以上23歳未満の方の被扶養者認定における年間収入要件が変わります

2025年10月1日施行

育児・介護休業法の改正は、前回の記事で4月施行のものを確認しました。
ここでは10月1日施行の内容を確認します。

義務化されたもの
  • 柔軟な働き方を実現するための措置を講ずること、個別の周知・意向確認
  • 妊娠・出産等の申出時と、子が3歳になる前の、個別の意向聴取およびその意向についての配慮

「柔軟な働き方を実現するための措置」は、3歳から小学校就学前の子を養育する労働者に関して、以下の中から2つ以上の措置を選択して講ずる必要があります。講ずる措置を選択する際には、過半数組合等からの意見聴取の機会を設ける必要があることにもご留意下さい。

柔軟な働き方を実現するための措置
  • 始業時刻等の変更
  • テレワーク等(月10日以上)
  • 保育施設の設置運営等
  • 養育両立支援休暇の付与(年10日以上)
  • 短時間勤務制度

参考:育児・介護休業法 改正ポイントのご案内

教育訓練休暇給付金の創設

スキルアップやリスキリングに取り組もうとする労働者が、仕事を休んで教育訓練を受ける場合に支給される給付金制度が創設されました。

支給対象となる労働者
  • 休暇開始前2年間に12か月以上の被保険者期間があること
  • 休暇開始前に5年以上、雇用保険に加入していた期間があること
  • 就業規則等に基づき連続30日以上の教育訓練を受けるための無給の休暇を取得していること
  • その休暇取得は業務命令でないこと

この給付金制度の対象となる「休暇」は次のものです。

対象となる休暇
  • 就業規則や労働協約等に規定された「休暇制度」に基づく休暇
  • 業務命令ではなく、自発的に取得することを希望して取得する30日以上の無給の休暇
  • 厚生労働省が定める教育訓練等を受けるための休暇

給付額、給付日数は、離職をした場合に受給する基本手当と同じです。
注意点としては、教育訓練休暇給付金の支給を受けた場合は雇用保険被保険者期間がリセットされることです。その後に離職をする場合は、失業等給付受給において、受給資格や給付日数に影響します。

参考:教育訓練休暇給付金のご案内(事業主向け)
参考:教育訓練休暇給付金のご案内(労働者向け)

2025年11月20日施行

通勤手当の非課税限度額の引上げ

物価やガソリン価格の上昇を鑑み、自動車通勤をしている給与所得者に支給する通勤手当の非課税限度額が引き上げられました。2025年4月1日に遡及して適用されます。

参考:通勤手当の非課税限度額の引上げについて

年末調整

変更点と注意点
  • 基礎控除の見直し
  • 給与所得控除の引き上げ
  • 特定親族特別控除の創設
  • 扶養控除・配偶者控除の所得要件緩和
  • 書類様式の変更
  • 通勤手当の非課税限度額引き上げ

参考:令和7年分 年末調整のしかた

まとめ

2025年の下半期は、被扶養者認定の取扱い見直しや、通勤手当の非課税限度額の引上げなど、給与・税務に直結する制度変更が続いた期間でした。また、教育訓練休暇給付金の創設や年末調整の様式変更など、従業員への案内や社内フローの整備が欠かせないテーマも多く見られました。