会社を揺るがす大きなリスク!就活ハラスメントとは?今すぐ始めるべき防止対策を徹底解説

CoRunの労務コラム

就活ハラスメントとは

就活ハラスメントとは、採用する企業やその採用担当者等が優越的な立場を利用して、就職活動中の学生に行うパワーハラスメント(パワハラ)やセクシュアルハラスメント(セクハラ)のことをいいます。
就職活動中の学生は「労働者」ではないため、これまでは、企業が防止措置を講じることを法で義務付けたものがなく、指針において「防止対策を行うことが望ましい取り組み」とされていました。
参考:労働施策総合推進法に基づく指針
参考:男女雇用機会均等法に基づく指針

男女雇用機会均等法の改正

そのような中、国は、多様な労働者が活躍できる就業環境の整備を図るためにハラスメント対策を強化しており、2025年6月に男女雇用機会均等法改正が改正されました。
この改正により、就職活動中の学生に対する「セクハラ」を防止するための雇用管理上必要な措置を講じることが企業に義務付けられ、2026年10月1日に施行される方針が厚生労働省より示されています。
この記事では、就活中に起きるセクハラの実態と、それを防止をするために企業が行うべき対応を解説します。

学生に聞いた!就職活動中に起きるセクハラの実態

防止対策を策定するために、まずは就職活動中の「セクハラ」の実態をみていきましょう。
2020年~2022年度卒業の、就職活動を行った学生に対する調査の結果です。
参考:令和5年度 厚生労働省委託事業職場のハラスメントに関する実態調査報告書

Q:就活またはインターンシップ中にセクハラを受けた経験はある?

就活またはインターンシップを経験した学生のうち、就活中に一度以上セクハラを受けた者の割合は31.9%、インターンシップ中に受けた者の割合は30.1%となっています。
男女別でみると、就活中のセクハラを経験したと回答した割合は男性の方が女性より高く(それぞれ34.3%、28.8%)、インターンシップ中も男性の方が女性より高くなっています(それぞれ32.4%、27.5%)。
就活ハラスメント(就活セクハラ)は、女性に対してだけでなく、男性に対しても起きていることに留意する必要があります

Q:誰から受けた?

就活セクハラの行為者は、就活中では「大学のOB・OG訪問を通して知り合った従業員」(38.3%)が多く、インターンシップ中では「インターン先で知り合った従業員」(47.4%)が最も多くなっています。

Q:受けた行為の内容は?

受けた就活セクハラの内容は、就活中では「食事やデートへの執拗な誘い」(33.2%)、次いで「性的な冗談やからかい」(28.9%)、「性的な事実関係に関する質問」(26.0%)が多く、インターンシップ中は「性的な冗談やからかい」(38.2%)、次いで「食事やデートへの執拗な誘い」(35.1%)、「不必要な身体への接触」(27.2%)の順に多くなっています。

Q:どんな場面で起きた?

就活セクハラが起きるのは、企業側の立場の人と学生が接触するときです。
就活中の学生がセクハラを受けた場面は、「リクルーターと会ったとき」(32.8%)の割合が最も高く、次いで「内々定を受けた後」(26.0%)、「内々定を受けたとき」(23.8%)の順で高くなっています。

就活ハラスメントが企業に及ぼすリスク

就職活動中の学生は立場が弱く、企業側の立場の人からの誘いは断れないのが事実です。
加害者が個人的に行った行為であっても、就活ハラスメントを放置することは、企業にとっては次のようなリスクが生じます。

  • 「就活ハラスメントを起こした会社」として企業の社会的信⽤を失い、企業イメージの低下
  • 就職後の職場でもハラスメントが横行している会社だと学生に認識され、応募が減少する可能性
  • 働いている従業員にも、働く意欲やモラルの低下により生産性に悪影響が及び、貴重な人材の退職・流失
  • 会社の使用者責任が問われ、ハラスメント被害者から損害賠償請求を受ける可能性

今回の改正で雇用管理上必要な措置を講じることが義務となるのは、就活ハラスメントのうち「セクハラ」に関しての対策ですが、「パワハラ」に関しても併せて防止対策を講じることが効果的です。

企業が講ずべき措置

今回の法改正にあたり、企業が講ずべき具体的な措置の内容等は、今後、指針において示される予定です。
次のような内容が検討されています。
参考:求職活動等におけるセクシュアルハラスメントに関して雇用管理上講ずべき措置等に関する指針の素案

  1. 事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発
    ・求職活動等におけるセクハラの内容
    ・求職活動等におけるセクハラを行ってはならない旨の方針を明確化
    ・管理監督者を含む労働者に周知・啓発
    ・就業規則・服務規律等に懲戒規定を定めること
    ・行為者は懲戒規定の適用対象となる旨を明確にすること
    ・面談等のルール策定(時間・場所・連絡手段等)
  2. 相談体制の整備・周知
    ・相談窓口の設置
    ・対応マニュアル整備
    ・相談対応者の決定
    ・相談対応者への研修
    ・求職者等にも分かる形で周知(HP・パンフレット等)
  3. 発生後の迅速かつ適切な対応
    ・事実関係の確認
    ・被害者への配慮
    ・行為者への措置
    ・再発防止
  4. 1~3までの措置と併せて講ずべき措置
    ・相談者・行為者等のプライバシー保護措置、その周知
    ・相談・調査協力を理由として不利益取扱いをしない旨の規定、その周知

まとめ

就活ハラスメント対策では、自社の従業員だけでなく、就活中またはインターンシップ期間中の学生に向けても、相談窓口を設置したことの周知や、相談対応を行うことになります。
既存の社内ルールだけではく、採用フロー全体を見直す視点が求められますので、義務化法の施行前であっても、早期に取り組みを開始されることをお勧めします。
また、就活ハラスメントと併せて、カスタマーハラスメント(カスハラ)についても、雇用管理上の措置を講じることが義務となり、2026年10月に施行される方針が示されています。
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