【2026年最新版】労働者数別でチェック!必要な手続きと労務対応を総まとめ

CoRunの労務コラム

はじめに

企業の成長に伴い、避けて通れないのが「従業員数の増加に伴う法的義務の変化」です。
「以前はこの対応で問題なかったのに、いつの間にか法律違反になっていた・・・!」という事態を防ぐため、この記事では、労働者数別に、必要な手続きや報告・公表等の義務を、徹底解説します。

労働者数別表

まずは全体を表で確認しましょう。労働者数別に必要な対応は下表の通りです。

労働者数必要な手続き・報告・届出
1人以上労働保険の加入
36協定の締結・届出
法定帳簿の備付
健康診断の実施
10人以上就業規則の作成・届出
安全衛生推進者(または衛生推進者)の選任
21人以上高年齢者雇用状況報告の提出
40人以上障害者雇用状況報告の提出
50人以上衛生管理者の選任
衛生委員会の設置
産業医の選任
ストレスチェックの実施
定期健康診断結果報告書の提出
安全管理者の選任
安全委員会の設置
51人以上社会保険「特定適用事業所」
101人以上障害者納付金の納付
一般事業主行動計画の策定・届出
女性活躍推進法に基づく情報公表
301人以上女性活躍推進法に基づく情報公表
中途採用比率の公表
男性の育児休業の取得状況の公表

では早速、それぞれの詳細を見ていきましょう。

労働者数1人以上(事業場単位)

労働保険(労災保険・雇用保険)の加入

労働者を1人でも雇用するときは、労働保険への加入義務が発生します。

種類加入時期根拠法
労災保険労働者を1人でも雇用したとき労働者災害補償保険法3条
雇用保険以下いずれも満たす労働者を雇用したとき
・週所定労働時間20時間以上
・31日以上雇用見込み
雇用保険法5条

36協定の締結・届出

労働者に、法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超えて残業させる場合には、時間外・休日労働に関する労使協定(36協定)を締結し、労働基準監督署へ届け出る必要があります。(労働基準法36条)

法定帳簿の備付

労働者を1人でも雇用するときは、以下の法定帳簿を整えて保存することが義務付けられています。

保存期間根拠法
労働者名簿3年労働基準法107条
労働基準法施行規則53条
賃金台帳3年労働基準法108条
労働基準法施行規則54条
出勤簿3年労働基準法109条
年次有給休暇管理簿3年労働基準法施行規則24条の7

健康診断の実施

常時使用する労働者に対しては、定期的に、医師による健康診断を実施する義務も発生します。

実施時期根拠法
雇入時の健康診断雇入れの際労働安全衛生法66条1項
労働安全衛生規則43条
定期健康診断1年以内ごとに1回労働安全衛生法66条1項
労働安全衛生規則44条

労働者数10人以上(事業場単位)

就業規則の作成・届出

常時使用する労働者が10人以上となった場合は、就業規則を作成し、労働基準監督署に届け出る義務が発生します。(労働基準法89条)
また、就業規則は、作成・届出を行うだけでは効力が認められません。労働者に周知をして初めて、法的な効力を持つことにも注意が必要です。

安全衛生推進者(または衛生推進者)の選任

安全管理者や衛生管理者の選任義務がない規模(50人未満)であっても、常時使用する労働者が10人以上となった場合は、安全・衛生の担当者を選任する義務があります。(労働安全衛生法12条の2)

選任すべき推進者業種
安全衛生推進者林業、鉱業、建設業、運送業、清掃業、製造業(物の加工業を含む。)、
電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業、
家具・建具・じゅう器等卸売業、各種商品小売業、家具・建具・じゅう器小売業、
燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業、自動車整備業、機械修理業
衛生推進者上記以外の事業場

参考:安全衛生推進者(衛生推進者)について教えて下さい。

労働者数21人以上(企業単位)

高年齢者雇用状況報告書の提出

常時雇用する労働者が21人以上の企業は、毎年6月1日現在の定年制の状況や、65歳までの継続雇用制度の導入状況などを報告する義務があります。(高年齢者雇用安定法52条1項)

労働者数40人以上(企業単位)

障害者雇用状況報告書の提出

常用雇用労働者数40人以上の企業は、毎年6月1日現在の障害者雇用人数を報告する義務があります。(障害者雇用促進法43条7項)
なお、障害者の法定雇用率は現在段階的に引き上げられており、2026年は下表の通りとなっています。

2026年6月まで2026年7月以降
民間企業の法定雇用率2.5%2.7%
対象事業主の範囲40.0人以上37.5人以上

参考:障害者の法定雇用率引上げと支援策の強化について

労働者数50人以上(事業場単位)

衛生管理者の選任

常時使用する労働者が50人以上の事業場は、「衛生管理者」の選任義務があります。(労働安全衛生法12条)
衛生管理者は、少なくとも毎週1回作業場等を巡視し、設備、作業方法又は衛生状態に有害のおそれがあるときは、直ちに、労働者の健康障害を防止するため必要な措置を講じなければなりません。

参考:衛生管理者について教えて下さい。

衛生委員会の設置

常時使用する労働者が50人以上の事業場は、「衛生委員会」の設置義務があります。(労働安全衛生法18条)

参考:安全委員会、衛生委員会について教えてください。

産業医の選任

常時使用する労働者が50人以上の事業場は、「産業医」の選任義務があります。(労働安全衛生法13条)

参考:産業医について教えて下さい。

ストレスチェックの実施

常時使用する労働者数50人以上の事業場は、年1回ストレスチェックを実施する義務があります。
ストレスチェックの結果、高ストレスと判定された者から申し出があった場合には、医師による面接指導を行う必要があります。(労働安全衛生法66条の10)

定期健康診断結果報告書の提出

常時使用する労働者が50人以上の事業場は、実施した定期健康診断の結果を遅滞なく労働基準監督署へ報告する義務があります。(労働安全衛生規則52条)

参考:健康診断結果報告の提出の仕方を教えて下さい。

安全管理者の選任

常時使用する労働者が50人以上の次の業種は、「安全管理者」の選任義務があります。(労働安全衛生法11条)

林業、鉱業、建設業、運送業、清掃業、製造業(物の加工業を含む。 ) 、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業、家具・建具・じゅう器等卸売業、各種商品小売業、家具・建具・じゅう器小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業、自動車整備業、機械修理業

参考:安全管理者について教えて下さい。

安全委員会の設置

次の業種は、常時使用する労働者が50人以上となったときに、「安全委員会」の設置義務があります。(労働安全衛生法17条)

林業、鉱業、建設業、
製造業の一部(木材・木製品製造業、化学工業、鉄鋼業、金属製品製造業、輸送用機械器具製造業)、
運送業の一部(道路貨物運送業、港湾運送業)、
自動車整備業、機械修理業、清掃業

次の業種では、常時使用する労働者数100人以上となったときに設置義務が発生します。

製造業(上記以外)
運送業(上記以外)
電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業、家具・建具・じゅう器等卸売業、各種商品小売業、家具・建具・じゅう器等小売業、 燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業

参考:安全委員会、衛生委員会について教えてください。

厚生年金被保険者数51人以上(企業単位)

厚生年金被保険者数が51人以上の企業は、「特定適用事業所」となり、週20時間以上働くパート・アルバイト等の短時間労働者を社会保険に加入させることが義務となります。(令和4年9月28日保保発0928第5号)

労働者数101人以上(企業単位)

障害者納付金の納付

常時雇用する労働者の総数が101人以上の企業は、障害者法定雇用率未達成の場合、不足人数1人につき月額5万円を納付する義務があります。(障害者雇用促進法49条、53条)

一般事業主行動計画の策定・届出

労働者数101人以上の企業には、次の2つの行動計画の策定・届出、公表・周知が義務付けられています。

計画内容根拠法
仕事と子育ての両立を図るための雇用環境の整備や、子育てをしていない労働者も含めた多様な労働条件の整備などの取組計画次世代育成支援対策推進法12条
女性の職業生活における活躍の推進に関する取組計画女性活躍推進法8条

女性活躍推進法に基づく情報公表

労働者数101人以上の企業は、次の①②の表から1項目以上を選択し、情報を公表することが義務付けられています。(女性活躍推進法20条)

①「女性労働者に対する職業生活に関する機会の提供」
・採用した労働者に占める女性労働者の割合
・男女別の採用における競争倍率
・労働者に占める女性労働者の割合
・係長級にある者に占める女性労働者の割合
・役員に占める女性の割合
・男女別の職種又は雇用形態の転換実績
・男女別の再雇用又は中途採用の実績
②「職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備」
・男女の平均継続勤務年数の差異
・10事業年度前及びその前後の事業年度に採用された労働者の男女別の継続雇用割合
・男女別の育児休業取得率
・労働者の一月当たりの平均残業時間
・雇用管理区分ごとの労働者の一月当たりの平均残業時間
・有給休暇取得率
・雇用管理区分ごとの有給休暇取得率

なお、2026年4月1日以降は、公表すべき項目が次の3項目に増えます。

  • ①②の表から選択した1項目以上
  • 男女間賃金差異
  • 女性管理職比率

初回の「男女間賃金差異」及び「女性管理職比率」の情報公表は、2026年4月1日以降に最初に終了する事業年度の実績を、その次の事業年度の開始後おおむね3か月以内に公表する必要があります。

参考:女性活躍推進法が改正されました!

労働者数301人以上(企業単位)

女性活躍推進法に基づく情報公表

労働者数301人以上の企業では、「女性活躍推進法に基づく情報公表」によって公表する項目数が、101人以上企業よりも多くなります。(女性活躍推進法20条)

  • ①の表から選択した1項目以上
  • ②の表から選択した1項目以上
  • 男女間賃金差異

2026年4月1日以降は次の4項目に増えます。女性活躍推進法が改正されました!

  • ①の表から選択した1項目以上
  • ②の表から選択した1項目以上
  • 男女間賃金差異
  • 女性管理職比率

中途採用比率の公表

常時雇用する労働者が301人以上の企業は、中途採用比率を公表することが義務付けられています。
公表は年に1回、公表した日を明らかにして、インターネット等を利用して求職者等が容易に閲覧できる方法で行います。(労働施策総合推進法第27条の2)

参考:正規雇用労働者の中途採用比率の公表が義務化されます

男性の育児休業の取得状況の公表

常時雇用する労働者が301人以上の企業は、男性労働者の育児休業の取得状況を公表することが義務付けられています。
公表は年に1回、事業年度終了後おおむね3か月以内に、自社のホームページや厚生労働省が運営するウェブサイト「両立支援のひろば」など、一般の方が閲覧できる方法で行います。(育児・介護休業法22条の2)

参考:男性労働者の育児休業取得率等の公表が義務化されます

「労働者」の定義

「常時使用する(雇用する)労働者」の定義は、各法令や制度によっても異なることがあります。
定義に迷うときは、所轄の労働基準監督署や顧問の社会保険労務士等に確認し、必要な届出等を行いましょう。