勤務間インターバル制度とは?
制度概要
「勤務間インターバル制度」とは、終業時刻から次の始業時刻の間に、一定時間以上の休息時間(インターバル)を設けることで、従業員の生活時間や睡眠時間を確保しようとするものです。
「労働時間等の設定の改善に関する特別措置法」の改正(2019年4月1日施行)により、「勤務間インターバル制度」の導入は、すべての企業において努力義務となっています。
制度の導入状況
直近の調査(令和7年就労条件総合調査)によると、日本における「勤務間インターバル制度」の導入状況別企業割合は、「導入予定はなく、検討もしていない」が78.7%、次いで「導入を予定又は検討している」が13.8%、「導入している」は6.9%となっています。

最も多かった「制度の導入予定はなく、検討もしていない」という企業について、その理由(複数回答)をみると、「超過勤務の機会が少なく、当該制度を導入する必要性を感じないため」が57.3%と高く、次いで「当該制度を知らなかったため」が19.9%となっています。

インターバル時間
では、実際に日本で「勤務間インターバル制度」を導入している企業についてみてみましょう。
設定しているインターバル時間は、「11時間〜12時間未満」(39.1%)、「10時間〜11時間未満」(24.3%)となっており、「12時間以上」(5%)と合わせると、10時間以上を確保しようとする企業が全体の約7割近くを占めています。
ある企業では、睡眠時間(6時間)、日常生活を送るうえで必要な時間(2時間)、それ以外(1時間)、これに往復通勤時間(2時間)を加えて、「11時間」のインターバルを設定しています。
諸外国の例では、EU加盟国は、すべての労働者に24時間ごとに最低でも連続11時間の休息を確保することが義務となっています。

参考:勤務間インターバル制度に関する実態調査
参考:勤務間インターバル制度導入・運用マニュアル
制度の導入手順・運用方法
制度の導入にあたっては、次の4つのフェーズごとに、労使による話し合いを土台にして、計画(Plan)、実行(Do)、評価(Check)、改善(Action)のステップを繰り返すことが、勤務間インターバル制度の着実な導入・運用に繋がります。
- フェーズ 1制度導入を検討する
- フェーズ 2制度を設計する
- フェーズ 3制度を導入・運用する
- フェーズ 4制度内容・運用方法を見直す
制度導入を検討する
- 勤務実態の現状把握
・所定労働時間
・勤務パターン
・実労働時間
・残業時間
・通勤時間、等 - 課題の抽出
・残業の発生要因
・取引先等との制約
・従業員の労働時間に関するニーズ、等 - 課題に応じた導入目的の設定
- 経営層の「企業全体で制度の円滑な運用に取り組む」というメッセージ発信
制度を設計する
- 制度の詳細を決定
・適用対象
・インターバル時間数
・インターバル時間を確保すると翌日の所定始業時刻を超えてしまう場合の取扱い
・インターバル時間を確保できないケースや業務等、適用除外の設定
・インターバル時間の確保に関する社内申請手続き
・インターバル時間を確保できなかった場合の対応方法
・労働時間管理方法の見直し、等 - 就業規則等の整備
制度を導入・運用する
- 社内周知
- 顧客や取引先への説明
- インターバル時間を確保しやすい環境づくり
・勤怠システムのアラート表示
・管理職から人事担当部署への報告の仕組み
・定期的な勤務実態把握、業務量等の調整
・研修会等の実施により制度への理解促進、等
制度内容・運用方法を見直す
- 制度の効果検証、課題等の洗い出し
・労働時間の管理方法
・インターバル時間の確保状況
・始業時刻がずれ込む場合の対応状況
・適用除外理由の妥当性
・導入後に得た効果、知見
・導入当初には想定していなかった課題
・制度に対する従業員の意見、等 - 制度内容・運用方法の見直し
就業規則の規定例
制度を設計したら、その根拠規定を整備する必要があります。
ここでは、インターバル時間(休息時間)の満了時刻が翌日の始業時刻を超えてしまう場合の規定例をご紹介します。
(勤務間インターバル)
第●条 いかなる場合も、従業員ごとに1日の勤務終了後、次の勤務の開始までに少なくとも、●時間の継続した休息時間を与える。
2 前項の休息時間の満了時刻が、次の勤務の所定始業時刻以降に及ぶ場合、当該始業時刻から満了時刻までの時間は労働したものとみなし、賃金は減額しない。
(勤務間インターバル)
第●条 いかなる場合も、従業員ごとに1日の勤務終了後、次の勤務の開始までに少なくとも、●時間の継続した休息時間を与える。
2 前項の休息時間の満了時刻が、次の勤務の所定始業時刻以降に及ぶ場合、翌日の始業時間は、前項の休息時間の満了時刻まで繰り下げる。また、この場合における終業時刻は、始業時刻を繰り下げた時間数繰り下げるものとする。
災害その他避けることができない場合に対応するための適用除外規定を設ける場合は、上記の規定例第1項に、次の規定を追加します。
ただし、災害その他避けることができない場合は、その限りではない。
上記の規定例は一例です。自社の制度に合わせて規定をしましょう。
また、ここに記載した内容のほか、インターバル時間の確保に関する申請手続きや労働時間の取扱い等についても明記する必要があります。
フレックスタイム制との併用
勤務間インターバル制度を導入している企業では、フレックスタイム制と併用している事例もあります。
フレックスタイム制は、⽇々の始業・終業時刻、労働時間を⾃ら決めることのできる制度です。
このため、フレックスタイム制が適用される従業員に勤務間インターバル制度を適用する場合は、自社の勤務間インターバル制度で設定しているインターバル時間数、それを確保することの必要性等について十分理解してもらうことが重要となります。
また、コアタイムを定めている場合、インターバル時間とコアタイムが重複した場合の対応についても検討する必要があります。一時的にコアタイムの適用を除外することができるよう規定しておく等の工夫が必要です。